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昔の事・今の事

基本noteと言うサイトや、他にキマグレに作ったブログからの転送で、加筆・訂正ありです。https://note.mu/zhou

「偽りの不倫 抱かれたい女」の事。(1996)

 

アダルトビデオ「抱かれたい女」の事。

AVなんて作られては消えてゆくモノで、それぞれの記憶に残っている作品はあるかもしれないけど、よほどの人気女優でもないかぎり、世の中に認知される形で残っている作品はゼロに近いかも知れない。

「抱かれたい女」は1996年に発売され、話題にもならないまま消えて行った作品だが、僕の中では思い出に残っている作品のひとつ。

当時、月に2本ほどAVを監督していたが、ナニを撮ったらいいのか判らない状態だった。

そんな時、西村美保さんとAV女優に出会う、俳優志望だという。すごく華がある訳ではない、だけどちょっとだけ落ち着きのようなモノが感じられて{逃げないな}という予感がした。

AV女優なんて気まぐれで、辞めたいと言えばスグ辞められる、大金を叩き出す有名女優なら、引き止められる、辞めさせてくれない、なんて事はあるだろうけど、その当時のAVの子は興味半分でAVの世界にやってきて、興味が無くなれば辞めるなんて当たり前だった。

西村さんはそういう感じでは無かったので、ちょっと長い撮影期間のAVが撮りたくなった、秋に始まり季節を経て秋に終るような...

そこで事務所に西村さんのスケジュールを1ヶ月に1日か2日だけもらうような契約をしたと思う、AV女優をやっている女の子(西村)に嫉妬する話を撮ろうと思っていた。

AV女優である西村さんが1ヶ月会わない間にどんなAVに出て、どんな事されたか、それを嫉妬して聞きながら、西村さんに「やっぱり、貴方が(ウチのメーカーの作品が)一番イイ」と言わせるような、ちょっとドキュメンタリーっぽいタッチでそんな作品を作ろうとしていた。今思えば、かなりつまらないAVだ。

しかし撮影を進めていくうち、フェイクドキュメンタリーで、なぜかAV女優と不倫している話に変わっていった。

撮影は秋に始まり、翌年の冬に終り、「偽りの不倫 抱かれたい女」として完成した。

1ヶ月に1日か2日という約束はズタズタになり、箱根、京都、札幌、シンガポール、インドネシア・・・かなり大掛かりなロケをしたAVとなった。

AVが評価される事などないので、評判は気にならなかったけど、会社的にはお金がかかりすぎた作品となり、経理、総務… 各所から、かなり怒られた。

しかし、時は流れて販売されてから13年後の、2009年、松江哲明という監督さんが、お気に入りのAVという事でとりあげて下さり、阿佐ヶ谷ロフトという場所で上映される事になり、さらに松江監督と僕のトークショーという、なんとも恥ずかしい舞台まで用意されてしまった。

プロジェクターでスクリーンに映されるAVを大勢で見るという経験は初めてで、それはそれで楽しい思い出だった。

13年も前に作られたAVが、どれだけ心に残るのか判らないけど、松江監督のように、たった一人でも、心のスミに残るAVを作る事が出来たのは幸せだと思う。